Cafe de MarronCoast Private Room - June,2003

西は江ノ島まで。北は横浜まで。「KURIHAMA STYLE」トップページに三浦半島周辺の花火大会情報を掲載。[6月13日(金)]



に自殺願望があるわけでもなく、スリリングな峠越えをたのしみたいわけでもなく、単純にその道の行き止まりがみたくなっただけだった。群馬県と栃木県と福島県。いったいそこがどこの行政区域に属しているのかということには興味がなかった。とりあえず、これ以上ないという山奥にクルマを駆った。月灯りもない、スチーム色の夜。耳を澄まして聴こえるのは、さっき自分のクルマが掃いた水の音だけだった。樹々のざわめきを除けば。ぼくは生まれてはじめてのクラクションをカモシカに捧げた。とても奇妙だったのは、どこまでいっても100mおきに「この先n00m工事中」(nは正の整数)の看板がたっていたこと。まるで忘れ去られたように。その、下界からの逃避行ともいえなくもない疾走の結末は、実にあっけないものだった。クルマ止めのゲートがあるその場所は、小さな小屋と、中くらいの広場と、いくつかの大きな樹々からなっていた。そしてぼくはそのいくつかの大きな樹々の適当なひとつにクルマで後ろから突っ込んでしまった。月灯りもない、スチーム色の夜。耳を澄まさないでも聴こえるのは、自分のクルマの鈍い叫び声だけだった。樹々のざわめきの他はほぼ確実に。ぼくは生まれてはじめてのクラッシュにシラカバの手を借りた。目が醒めた。それは、どう考えてもそこには相応しくない音だった。だけど、とても小っぽけな音だった。大自然に呑みこまれた気分がした。

元の警察に届け出て近くのたて看板のテキストを告げると、「そんな山奥、行ったことない」といわれた。そしてそこがただの山奥ではなく、群馬県の山奥だということも知った。110番したら、まずは群馬県警に繋がったから。

の話にはモデルがある。ダグラス・クープランドの短編、「1000イヤーズ(ライフ・アフター・ゴッド)」(1993)という作品。本当ならば、クルマを降りてからさらに山奥へと入っていくストーリーもあるはずだった。そこでぼくは、子どものころ夢みた夢について、さいきん避けられているんじゃないかと思う友だちについて、人生の急勾配について、考えるはずだった。この先になにが待っているのか、宗教をもたないぼくには、樹々や水や風だけが教えてくれるものだと信じていた。そして教えられたことは、道は自分の足で踏みしめて行けということだった。もういちどやり直しさ。[6月15日(日)]



朝、山を降りた。往路とは違う道を選んだ。来た道を戻る気はしなかった。しばらくすると大きめの川にでて、その川沿いの道を下った。いまその川を本当に下っているのか、ときどき朝もやの影から現れる巨大で人工的な堰がわからなくさせていた。自然に曲がりくねった流れにみえるけど、実はぜんぜん自然ではないのだろう。ネイチャーとウィルダネスとが違うように。国道にでるとダンプカーが狂ったように爆音をたてて飛ばしていた。高速道路ってこういう無茶なクルマを通すために造ったんじゃないのか。けっきょく高速代は高いし運転手(または運送会社)はケチるしで、需要供給曲線の引き方をまちがってるとしか思えない。連中と同じペースにはまるのに耐えかねて、高速に入った。ラジオをつけると、いつものようにクリス智子さん(J-WAVE)の声がきこえてきた。今週のゲストは大滝詠一さんだという。「恋するふたり」(2003)は最後の10秒の、♪ダンドゥビドゥビ ダンダンビドゥビドゥビ・・・、がすべてで、その前の4分間はそこにもっていくための前フリだと仰せられていた。プロセスがいかに大事かということか。

きみのためなら川を渡ろう

で、家ではそのまま災害時用避難パックとして使用できそうな荷物を降ろすと、ニッサンに直行してクルマを修理にだした。[6月16日(月)]



2003久里浜ペリー祭」のタイム・スケジュールを「KURIHAMA STYLE」トップページに掲載。

きみがいないビーチは欲望の影もなく

コバルトブルーの 涙の海で 人魚のような 恋に溺れたなら〜キスより甘く 永遠より長く 折れた心に 愛をください〜
サザンオールスターズ約2年半ぶりのシングル・リリースまでおよそ1ヶ月。[6月21日(土)]



イ・マーチ無事復帰。[6月22日(日)]



本木ヒルズ初登頂。オープンから2ヶ月。サンセットのころなのに上まで登るひとは少なかった。オープニング・ブームが去ったあとだけに、物好きか流行後れの観光客だけが登るのか。眼下の東京タワーが模型みたいにみえた。東京の夜の主人公はまちがいなく東京タワー。と、対角線上の、まだ帳の降りきっていない西の空をみながら思ふ。


ープニング展覧会「世界都市展」までくると、ツアー客のほかは、建築か都市に関わりのあるひと(もしくは、関わりのあったひと)など、その手の人種しかいなくなる。ここでは、なにかにつけてお金を搾取されるので。六本木ヒルズではいくつかのコースをガイド付で迷うことなくまわれるツアーが用意されている。裏を返せば、ガイドなくしてうまくまわるのは難しいということ。で、ツアーに参加しているひともそれなりにいた。「世界都市展」は、ロンドン、パリ、フランクフルト、ベルリン、シカゴ、上海、ニューヨーク、そして東京。それぞれの都市を、模型を中心に航空写真やムービーなどをまじえながら、都市構造や、歴史や文化などをみせるという仕組み。東京のまちはクレイジー。このまちに足りないものは文化。他の都市と比べれば一目瞭然。シカゴのような極端に計画された街区や上海のわかりやすい貧富の差も文化と呼べるのならば。そして、どの都市も港や河など、水をまちにうまくとりいれている。東京はどうか?かつて、はそうであったとしても。

っと、忘れちゃいけない。ハッピー・バースディ。25歳、おめでとう、SAS。[6月25日(水)]



長執務室にて、市長へ「We Love 平作川プラン」の受渡しをしてきた。市長曰く、「We Love 平作川」が市民協働型事業のモデルになってくれるようがんばってほしいとのこと。それにはまだまだ市民の自主性が足りない。事務的な部分をはじめ、あまりにも市の職員の方々に依存しすぎているから。だからといって役所の手はまったく借りたくないというわけではない。どこかにベストなバランスがあるということ。そこに資金的な話をからめるとさらに複雑になってくるわけだが、このような活動が地域になじむには時間もかかるもの。

We Love 平作川プラン

ラン表紙や裏表紙作成、全体の調整はともかくとして、表紙の稚拙なイラストも恥ずかしながらぼくの筆による。[6月27日(金)]



晩は仕事の打ち上げを歌舞伎町で。あのカオスが好きだという意見もわからなくはないが、個人的にはなんど訪れても苦手なまち。みんな笑ってるか死んでる顔してるかなんだけど、それも一時的な欲求からなのか、こころからの感情にはみえない。さいきんの哀しいこと。哀しいこともあまり哀しいとは思えなくなってきてしまったことが哀しい。それが、哀しいことがあまりにも頻繁に起こりすぎているせいなのか、本当は本当に哀しくないことだからなのかはわからない。別に知りたくもないし。[6月28日(土)]



岸線を走りながら、鎌倉を特集しているラジオ・プログラムを耳にしながら、稲村ガ崎海水浴場閉鎖のニュースに思いを馳せながら、とっても変わった曲が流れてきた。フランス語でロックンローラーの名前を連呼する唄。ジム・モリスン、ジミー・ヘンドリックス、エルヴィス、バディ・ホリー、ジャニス ジョプリン、ジョージ・ハリスン・・・。間髪いれずにつづけてかかった曲がジョージ・ハリスンの「MY SWEET LORD」(1970)という粋な計らいも。家に帰ってからネットで調べた。すぐに、ジェーン・バーキンというひとの「EX FAN DES SIXTIES」(1978)という曲だとわかった。つくづく便利な世の中になったものだと思う。ついでにきょうがビートルズ初来日の日だという事実もおまけで知った。そういえば、七里ガ浜以外でも、ここのところずっと浜辺の侵食が激しいことが気になっていたことを思い出した。地球は確実に壊れている。しかも、ものすごい速度で。

2003久里浜ペリー祭」向けマップのダウンロードを「KURIHAMA STYLE」トップページで開始。とはいえ、昨年のものの焼き直し。ペリー上陸150周年記念サイトの構築を正式に断念。かたちを変えてそのうち創るけど。直接の原因は、「日米交流150周年記念事業」公式サイトというものが存在していたから。とでもいっておこうか。「KURIHAMA STYLE」も文中からリンクされている。いつもながら無断で。[6月29日(日)]



このところ体調を崩していた。医者からは4種類のクスリを処方されていたけど、たまにしか飲んでいなかった。なにか、本当の自分ではなくなってしまう気がして。6月後半は、慌しくもあり、静かでもあった。そんなことを憶えている。手元に残った4種類のタブレットはぼくを元通りにはしてくれなかった。信じられるものは年を重ねるごとに消えていくものだ。そのうち、クスリだってまったく信じられるものではなくなってしまうのだろう。もしかしたらもう信じていないのかもしれない。自己を防衛する手段として、ぼくはシニカルさを鍛えることを選んだ。ライフまで解雇されないように。[6月30日(月)]

あなたたちは誰を護ってくれているのか?



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