Cafe de MarronCoast Private Room - April,2003

までつづく桜並木もことしはタイミングよく。うわべだけでも華やいだ気分にさせてくれる。歩く速度を少しゆるめた。時計の針を1分すすめた。新しく契約をかわしたひとも。契約を解除したひとにも。晴れがつづくと信じるひとも。雨に撃たれているひとにも。雪融けの季節にいるひとも。暁に覚えのないひとにも。なにもかわらないひとも。なにもかもかわったひとにも。風薫る。薄紅な。新しくはじめる季節は平等に訪れるもの。[4月3日(木)]



はいえ、新しい季節=春だとは限らず、個人的にはなにがかわったということもない。中身のない話は苦手だったり、東京圏脱出が課題だったり、それには最低3ヶ月分の貯蓄が必要だったり。

ジオからはありとあらゆる種類のアトムに関する曲が流れる。予想はしていたが。本当なら主題歌になるはずだった曲とか、烏龍茶のCMで流れていた北京語ヴァージョンの曲とか。ぼくは、手塚治虫のトリビュート・アルバムに収録されている「僕は愚かな人類の子供だった」(佐野元春,1998)をプレイヤにセットした。この曲は鎌倉芸術館でのスポークンワーズ・イベントで聴いたことがあった。こんな時代に生まれなければならないなんて、なんて皮肉な。どこかで頭の使い方を間違わなければ、人類はもうひとつの未来を迎えていたのかもしれない。原子力エネルギーには反対だけど。[4月7日(月)]



山ブックセンターで村上春樹訳版「ライ麦畑でつかまえて」(J.D.Salinger,1951)、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を購入。ポール・オースターなどの翻訳で知られる柴田元幸氏との対談ペーパー付。原著者からの要請により巻末の解説が収録できなかったとのことで、事実上のあとがきのようなペーパー。「The Catcher in the Rye」も登場するビリー・ジョエルの「We Didn't Start The Fire」(1989)によれば、この小説が出版された1951年は、アメリカによる水爆実験がはじめて行われ、板門店で朝鮮戦争の休戦会談がはじめて開かれ、ブロードウェイでミュージカル「王様と私」(Margaret Landon)がはじめて演じられた年。そのほか、「アトム大使」(手塚治虫,1951)のなかでアトムがはじめて登場した年でもある。はじめて訳書が出版されたのが1964年。その野崎孝訳版よりかなり読みやすくなっている(村上春樹訳版はまだ少ししか読んでいないわけだが)。いままでは原書で読めない(英語ができない)ことをハンディに感じることが度々あった。「ライ麦畑でつかまえて」はストーリー全体が口語体で構成されているため、現代風に表現があらためられるとまるで違う小説のように感じてしまう。原書ではこうはいかないだろうから訳書しか読めないというのもあながち悪くはない。とちょっと思った。[4月11日(金)]



澤征爾オペラ・プロジェクト2003特別公演(国立パリ・オペラ座共同制作)「スペインの時」(Ravel)および「ジャンニ・スキッキ」(Puccini)を観劇。昨秋、ウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任以来初の日本での公演が、この、よこすか芸術劇場でのオペラ。この後、川口、東京、そしてパリでの公演とつづく。オペラハウス仕様の劇場では、2階席1列目は最高のポジションだった(1階席からはオーケストラが観えない)。舞台、小澤氏の指揮とオーケストラ、字幕、と視線の移動に忙しかった。フランス語を学んだことがなかったことを少しだけ後悔した。なにからなにまで超一流でそろえてはいたが、それをリラックスした雰囲気で観させてくれるのが世界のオザワのすごいところ。終演後、舞台の上でキャストといっしょに手をつなぎ、なんどもなんども無邪気に楽しげにあいさつをくりかえしていたのがとても印象的だった。[4月13日(日)]



まりにも『ロンバケ』(大滝詠一,1981)日和だったりして、いろいろなモチヴェーションが下がりまくり。たしかに天気は良すぎる。だけど通勤電車だとか地下鉄だとかに乗らなければならなかったり、狭い部屋に軟禁されてたりすると、こんな矛盾した気分になってしまう。大滝詠一6年ぶりの新曲「恋するふたり」(2003)がきょうからはじまったドラマの主題歌になったので、それがラジオから流れてきてさらに追いうちをかけられた。WOWOWのTVCMでは、「恋するカレン」(大滝詠一,1981)がケミストリーのカヴァー・ヴァージョンで流れてくるし。

滝詠一の曲って、実は日本でいちばんリユースされているんじゃないかなって思う。「夢で逢えたら」(1976)のそれはおそらく日本一だろう。先月(再)リリースされた海外のアーティストによる大滝詠一のカヴァー・アルバムでは、あのロニー・スペクター(元ロネッツにしてフィル・スペクターの元妻)が「恋するカレン」をカヴァーしている。意外なところでは、桑田佳祐もライヴで「夢で逢えたら」をカヴァーしている。ナイアガラのよさって、ラーメン店がスープを継ぎ足して自慢の味を守ってるというよくきくエピソードに似てるなと、「恋するふたり」を聴いてて思った。[4月14日(月)]



ツ谷にあるミッション系の学校に潜入した。ぜんぜん違和感はなかった。ようにみえた。文学部の掲示板チェックなんてしてみたりして。いまどきスリー・ピースのスーツ着てる学生なんていないだろうけど。郊外のキャンパスで学生時代を過ごしたぼくには、都会のキャンパスでは多少そわそわしてたのは事実。それにしても、あの、学食の女子率の高さといったら。[4月21日(月)]

エイメン



文していたブック・シェルフが届いた。さっそく家中に散在していた書籍を集めた。ほかにも、デジカメやCPUの空き箱とかソフトウェアの箱なども収納した。それから、いちぶCDやアナログ盤も。おかげでもう25年くらい使ってる本棚みたいになってしまった。ちょうど3年前のGWにメインPCとデスクを新たに入れたとき以来の、ルック&フィールの更新作業開始。

本棚

上春樹訳版「ライ麦畑でつかまえて」(J.D.Salinger,1951)、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読み終えた。夜ごと、1、2コずつチャプタを読み進めていた。このくらいのペースがちょうどいい。それから、「ライ麦畑」を読むのはいつも眠る前と決めている。読む本によってシチュエーションを変えるのが好きだ。無機質な電車のなかで読みたい本、晴れた公園のベンチに腰かけて読みたい本、カフェで誰かを待ちながら読みたい本、海辺で波の音を聴きながら読みたい本、図書館の無菌室にいるような空間で読みたい本、眠る前に読みたい本、といった具合に。ホールデンは永遠の16歳。せめて夢のなかでは無垢な16歳でいてみたいもの。[4月26日(土)]



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