Cafe de MarronCoast Private Room - December,2002

底的にピースフルな1日を心がけた。それはつまりこんな単純なことなわけで。BGM、BGVおよび午後の読書はすべてプラスチック・オノ・バンド/ジョン・レノン/ヨーコ・オノ/ジョン・レノン&ヨーコ・オノ名義。ピースとはきっと単純に考えること。[12月8日(日)]



さ起きて部屋の窓を開けると、そこは一面の銀世界。なんかではなく、いつもとなにもかわらない雨が降っていた。内陸のひとが予報する天気はいつも期待を裏切ってくれる。ブラウン管のなかでは、薄化粧と呼ぶには少々無理のあるおしろいの首都やそれに連なる都会の様子がローカル・ニュースとして映しだされていたけど、どうも実感がもてなかった。ホームに滑り込んできた北行きの電車は定刻どおり。すぐそこの車庫を出庫してきたのだろう。そのX世代の電車にも雪の姿はなかった。トンネルをいくつかくぐり10数分行き、5、6個目のトンネルを抜けると、そこには雪国があった。あまりにも突然だったので、その瞬間までロールバックしそうになった。ときどき、この世界はバイナリでできているのではないかと思うことがある。政治家が同じコトバをくり返しているとき。次の角にもまたスタバがみえたとき。Premireでノンリニア編集をしているとき。Nokiaのケータイをスライドさせたとき・・・。だけど3杯目のアールグレイに渋みがなかったりすると、急速に現実に戻るわけで。[12月9日(月)]



としの5選。

LIVE AT THE ROXY THEATRE』(BRIAN WILSON,2002)。オリジナルではないがフィル・スペクターの名曲「BE MY BABY」(THE RONETTES,1963)のカヴァーがすばらしい。ジョン・レノンが「PLEASE MR.POSTMAN」(THE BEATLES,1963)や「STAND BY ME」(JOHN LENNON,1975)をカヴァーしてるときのように、肩の力が抜けた感じの唄い方がいい。

RARITIES』(山下達郎,2002)。こちらもオリジナルではないが、ブライアン・ウィルソンがキャステルズに提供した「I DO」(1964)のカヴァーにノックアウト。伝家の宝刀、裏声が全編に響く。ウォール・オブ・サウンド/ナイアガラ系のサウンドは聴いていていちばん落ち着くらしい。

TOP OF THE POPS』(桑田佳祐,2002)。いままでもほとんど同じようなCDをつくって聴いていたわけだけど、重要なルーティン・ワークなので購入。「いつか何処かで」(1988)の、とても14年前の曲だとは思えないアレンジや楽曲自体のすばらしさを再認識することとなった。これほどのクオリティをもった曲にはそう簡単にはであえない。

100s』(中村一義,2002)。学生時代、まだ中村一義がデビューしたばかりのころ、友人に「ポスト桑田佳祐っていわれているらしいよ」と紹介されて以来、ちゃんと聴く機会を得られずにきていた。4枚目をやっと購入。ソロ名義ではあるがおもいっきりバンド・サウンドなのは、ときをほぼ同じくしてリリースされた桑田佳祐の『ROCK AND ROLL HERO』(2002)とも通じるものがある。

SOMEDAY Collector's Edition』(佐野元春,2002)。ことしはナイアガラの流れをくむ楽曲を耳にする機会が多かったように思う。『SOMEDAY』(1982)は、佐野元春がナイアガラといちばん密接に関わっていたころの作品。再発ものにも関わらず、タワーレコードのウィークリー・チャートで1位を獲得。HMVのレビューで最高点を獲得。山下達郎といい、源流にいちばん近いものが評価されるのは当然のこと。[12月15日(日)]



としもクリスマス・ツリーならぬ、「CHRISTMAS TIME IN BLUE」(佐野元春,1985)をだした。下のほうに埋まってしまっていた、レコードの束から抜きだして飾ってみた。この曲はとくにアナログで聴くのが心地よい。プレイヤーにしてもそうだけど、この、音が歳を重ねていく感じがたまらない。老いていくことへの哀しさではなく、芳醇に、おおらかに、成熟していくような。

の時期、例年なら年賀状をコンセプト・レベルから紙ベースのものにするのに四苦八苦しているのだが、ことしはそんな慌しさもない。まいとしたいしたものはできないけれど、自分らしさをだせるいい機会だと思っているし、頭に描いたほどうまくいかないけれどけっこう好きな行事ではある。だから、どうも気が抜けてしまう。そして想うのは、忘れたくても忘れられないひとのことや忘れたくなくても忘れていってしまうひとのことだったり。あなたたちの人生はしあわせだったのか、訊いてみたかった。そのストーリーの後半に脇役として登場するひとりとして。ぼくはいい演技ができたのだろうか?ぼくはそこからなにを学んだのだろうか?ぼくの涙はみえているのだろうか?[12月21日(土)]



とし最後の「grasses」リリース。今回ははじめてちょっとしたストーリー性を取り入れることを目標とした。とある楽曲を下敷きにして。4分22秒のショートショート。作者はライナーノーツで「トッド・ラングレンやホール&オーツなどのイースト・コーストのテイストにあこがれてつくった」と書いている。ぼくはぼくなりの解釈で、秋の浜辺を舞台にした。しいていえば、マロン・コーストのテイストで。まずまずの出来になったと思う。短編映画を撮るという目標にはほど遠いけど。もともと短編映画を撮ってみたいという願望はもっていた。だけど、ことし、「grasses」をはじめなければならなかったのには、おじいちゃんの死に起因するところが大きかったように思う。亡くなる1週間前、たまたま訪れていたおじいちゃんの家で、たまたままわしていたカメラのモードが、スチルではなくムービーだったことが。動いている画が残っているのとそうでないのとでは大きく違う。世界はなんの前触れもなく音も立てずに壊れていってしまう。ぼくはこれからも、家族や友人たちを、自分の身近にあるライフを、自分にとって大切なもの、他人にとってはどうでもいいものだろうけど自分にとっては重要なものを、撮りつづけるだろう。ぼくのハードディスクはもういっぱいだし、さいきんよくファイルミスをやらかす。なので外部補助記憶装置が必要だからというのもある。今回からメインの配布メディアをVHSからDVDへと変更した。最終的にアナログに変換するときの劣化が気になっていた。「studio grasses」にて冒頭部を[grasses#006 - 30SecShortShortEdition](WMV/320*240/1.30MB)として公開。諸般の事情からLHA圧縮をかけた。

潮騒

の浜辺が好きだ。人気のなくなった渚。きのうより短い午後。やたらオレンジな夕陽。最高の演出でなくともかまわない。はなからうまくいくとは思っていないから。ただ、時間の許すかぎり、つたないストーリーを思い描いてみる。とかなんとかいってみたくなる。夢から醒めればもうそこには年の夜に帳がおりていた。[12月23日(祝・月)]



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